つのの細道(クアラルンプール)

  
 友人Mが、KLに海外赴任中だったので、マレーシアに行ったのです。
 Mの長女とうちの次女は、大の仲良しでした。(今も仲良しです)
 Mの長女が現地の幼稚園で、言葉が通じず、孤独な毎日だったので、
 Mは、次女を連れてくるようにと言います。
 3才児など連れて行っても足手まといなだけで、きっと何も覚えていません。
 にもかかわらず、格安航空券は大人と同じ金額です。
 迷いましたが、次女を連れて夫Tと3人で行きました。

 Mの夫は、うちの夫Tの元上司で、仲良しなので(今も仲良しです)
 KLでは、Mのコンドミニアムに居座りました。
 Mのコンドミニアムは、プール付きで、2ベッドルーム2バスルームでした。
 ベビーシッターとメイドと運転手を雇っていました。
 M一家は、政府管轄で行ったので、派遣は家族揃って3年間。
 その3年間のうち、帰国は1度きり。旅行はアジア内のみ、と決められていました。

 M夫婦は、自慢のレストランや、ショッピング街へあちこち連れて行ってくれました。
 M夫婦が連れて行ってくれたレストランのうち、
 官庁街にある、大きな樹の下で食べたナシゴレン(焼き飯)が、最高に旨かったです。
 南国料理は、暑い中で涼を取りながら食べるのがおいしいのです。
 冷房の効いたマレーシア料理屋で食べたのでは、あの味は味わえません。





 夫Tが坊主だからと、モスクではなく、
 バトゥケイプという、ヒンズー教のお寺に連れていってくれました。
 272段の急な階段を、登って行くのですが、途中で猿の襲撃に会います(まじ恐)。
 汗だくになってたどりついた寺は、鍾乳洞にあり、涼しくて、ほっとできます。
 インド的かつ中国的で、なかなかな興味深いお寺でした。

 Mは、毎日暑く、四季がないことを嘆いて、日本に帰りたがっていましたが、
 異国の地で、3年間で見たことや経験したことは、
 お金では買えない財産になっています。
 M夫婦だけでなく、子供達の感性や色彩感覚も、
 マレーシア文化の影響を色濃く受けています。
 あの3年間は、M一家にとって、かけがえのない日々でした。

 その後、夫Tにもバンコク行きの話がありましたが、
 夫Tは、その時手がけていた仕事に未練があり、私も反対したので、
 断わってしまいました。
 そうそう簡単に、一家で日本を3年間も留守にできるものではありません。
 KLに行った時は、Mの苦労に同情しましたが、今となっては、うらやましく思います。

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